自分が居た「高射特科」という職種
こんにちは!
このブログではTwitterの延長線として色んなことを書いていきたいけど、多分一番多くなるのがこの自衛隊ネタ。
今回はまず、自分が居た職種について少し掘り下げた話をしていきたいと思う。
突然だが陸上自衛隊の職種の中で高射特科という職種をご存知だろうか?
陸上自衛隊には16種類の職種が存在し、それぞれの役割や任務がある。
駐屯地祭なんかで一際目立つ普通科隊員や特科火砲、戦車などに比べたらマニア以外にはあまり見向きもされない職種だと思うから高射特科と言われても殆どの人がピンと来ないだろう。
元自衛官で現在は即応予備自衛官をしているけど「自衛隊てどんなことしてるの?」「毎日訓練?」「匍匐前進する?」など自衛隊を退職し娑婆に出ると決まって色々な質問をされる。
毎日が訓練漬けの日々というわけではないし、匍匐前進もするが皆が銃を持って前線で戦うわけではない。
・戦闘職種と後方支援職種。どの職種も重要!
自衛隊の職種は戦闘職種と後方支援職種の2種類に大きく分けられる。
戦闘職種と呼ばれるのは主に普通科や機甲科、特科といった戦場で敵と直接火力を交える部隊のこと。駐屯地祭での模擬戦闘訓練展示ではちびっ子にも女性にも人気で自衛隊の花形とも言える存在でもある。
そして後方職種というのは、前線部隊をサポートする役割の職種。戦闘部隊だけ揃っても彼らがいなければ戦闘にしろ災害派遣にしろ作戦遂行は不可能。通信科、衛生科、需品科、輸送科、音楽科などが挙げられる。
また会計科や警務科といった駐屯地での業務がメインの職種も存在する。
これらの職種がお互いに連携することによって自衛隊という日本で一番巨大な組織は機能している。
・対空最後の砦
そして自分が居た高射特科という職種。旧陸軍で言うところの対空砲兵という兵種に相当する。
方面隊には高射特科団または高射特科群が、旅団には高射中隊が配備されていて、自分の所属は師団に配備されている高射特科大隊というもの。
ちなみに空自には高射隊があるけどそれとはまた別ね。
高射特科は対空戦闘専任部隊。地対空誘導弾や低空レーダーなどが装備されており、恐らく陸上自衛隊の中でも装備品に最もお金を掛けている。
そして、それらの装備を駆使して対空戦闘を行う「対空戦闘の要」、「対空最後の砦」と言われる戦闘職種。
高射特科部隊の任務は対空作戦の骨幹として、低空域を進行する敵航空機を撃墜、またはその攻撃効果を無効にして我が部隊の行動の自由、および重要な地域等の安全をはかり、我が部隊の作戦、戦闘全般の遂行を容易にすることにある。
師団防空。つまり、敵の戦闘機やヘリコプターなんかの航空機から味方陣地や地上部隊を守るのがお仕事。時には空自の戦闘機と共同して対空戦闘を行ったりする。
対空戦闘能力を有してない戦車や特科火砲などの地上部隊にとって敵の航空戦闘力は天敵な訳で、作戦行動の際は高射部隊の対空援護が必要となる。
・近SAM部隊へ
そして高射特科の中でも自分が居た中隊は93式近距離地対空誘導弾、通称近SAMと呼ばれる器材を運用する部隊。
なにそれって?SAMとは地対空誘導弾(Surfece to Air Missile)、つまりミサイ
ルのことで、高機動車の背中に誘導弾を発射するための発射器を乗っけた感じの器材。近距離対空戦闘において高い要撃性を持つ。
他にも高射特科の装備器材は射撃部隊には81式近距離地対空誘導弾(短SAM)や03式中距離地対空誘導弾(中SAM)、87式自走高射機関砲(87AW)という車両器材もあったり、ホークというお化けみたいに大きなミサイルを運用する部隊もあるが、配備されている装備は部隊によって異なる。あとは低空レーダー装置や通信を担当する部隊もある。
それと、12.7㎜重機関銃。高射隊員はHMGと呼ぶが普通科とかはキャリバーて言ってる。自分は射撃手としてそれをぶっ放したりもしていた。
・自分が何故近SAM部隊を希望したか
そもそも自分の第一志望は普通科だった。
どういうわけか希望にすら挙げていなかった高射特科に配属先が決定。遥々遠く離れた他県まで高機動車に詰め込まれドナドナされてきた身であって、高射の存在などうっすらとしか知らなかった。
まあ、どうせ自衛隊に入隊したのだから実戦部隊に所属したいという思いがあったのと後期教育でお世話になった班長について行きたいと思ったこと。あとその中隊に凄く美人な先輩が居るのを知り当然のことながら近SAMを熱望した。
・前線部隊と共に
特に近SAMは低空で進行する航空機を迎え撃つため普通科や戦車部隊に追随しながら展開することも多いため、高射の中でも最も前線に近い位置に立つことになる。
敵だって馬鹿じゃない。我の対空火器を警戒してるから、戦闘機は山の陰を地上に近い低空で飛行して山影から飛び出してくるだろうし、戦闘ヘリコプターは山の尾根を蛇みたいに縫うようにして接近してくる。
そして山影を利用して低空を飛行する目標はレーダーでは捉えにくいため、目と耳、あとは地形を見極める能力が頼りとなる。
顔を出してきた敵を待ち構えているのだが、それは自分から見ても敵から見ても大抵お互いが目視で捉えられる距離。一瞬の判断力とスピードが要求される。
後期教育を終え晴れて高射戦闘員になったわけだけど、最初の2年間くらいは失敗の連続で、散々怒鳴り散らされたり上司からモンキーレンチが飛んできたりと今となってはいい思い出。
その話はまた次の機会に書くことにして、高射職種について概ね伝われば幸い。まだ初心者で不慣れな文章だけどよろしくね。